水飢饉と彼岸花でも紹介した名著「梅干と日本刀」にあった話しだと思いますが、武田信玄が作った防波堤で「信玄堤」と呼ばれているものがあります。
従来の防波堤というのは言うまでもなく、強固な堤を築いて大きな衝撃に耐えられるようにするという発想です。
もちろん普段は十分に機能するのですが、致命的な欠点は予想外の力がかかると壊れてしまう点と、常に100%の衝撃が防波堤にかかるので傷みやすいということです。
信玄堤の構造は現在のテトラポットを想像してもらうのが一番近いかも知れませんが、固めて作りあげた堤ではなく、水が通るような荒い構造になっていて、水の衝撃が吸収・分散されるようになっています。
例えば優れた耐震構造の高層ビルは上が揺れることで、地震の衝撃が分散されて倒れないようにできています。
みなさんが使っている車についても、運転席は強度を非常に強くするように設計されていますが、前後の部分はクラッシャブル構造で、簡単に壊れることで衝撃が吸収されます。
このクラッシャブル構造はホンダがF1で培った技術で、最先端(といってもかなり前ですが)の発想が既に戦国時代に使われていたということに驚嘆します。
柔道でも”柔よく剛を制す”、ムーディー勝山の”右から左に受け流す”・・・・・力は正面から使うだけでなく、利用したり無効化することも大切だという発想も時には重要ですね^^